その背中、抱きしめて 【上】
着地する前に周りがどよめいたのが分かった。
「79センチ」
その数字でさらにどよめきが大きくなった。
「あと1センチで80じゃん!!ゆず頑張れ1センチ!」
さくらちゃんに声をかけられる。
でもその1センチってなかなか伸びないし、しかも私、1回目の方がいつも記録がいいんだよね。
「先輩、ほんの一瞬腕を振り上げるのが早いです。一瞬溜めて振り上げてみてください」
「え?」
高遠くんだった。
腕組んで片足重心で立ってるクールな男の子。
「わ、わかった。溜め、ね」
溜め、溜め、って頭で繰り返してもう1回跳んだ。
「わ、すごい。佐藤さん81センチよ」
すごい…高遠くんの言うとおりにしたら2センチも伸びた。
しかも自己ベスト。