その背中、抱きしめて 【上】
何とか興奮を抑え込んでから、高遠くんを中庭に誘った。
(学食がメインイベントじゃないから!ケーキ渡すのがメインだから!)
1人で脳内ツッコミを入れながら歩く。
中庭のベンチに座って高遠くんに手に持ってた小さめの紙袋を渡した。
「あの、これ。今日バレンタインデーだから」
「…これ俺にくれるために、今日お昼一緒に食べようって言ったの?」
「そ、そう…」
うぅ、恥ずかしいんですけど。
世の中の女の子ってみんなこんな恥ずかしい思いして男子にチョコ渡してるの?
高遠くんが紙袋の中からケーキの袋を取り出す。
「ねぇ先輩、これもしかして手作り?」
「…うん。初めて作ったから上手くできてないかもしれないし、そもそもお口に合わないかも…」
ガサガサっと袋からケーキを出して、高遠くんがケーキにかぶりついた。
もぐもぐ食べてる様子を私は固唾を飲んで見守る。
あっという間に1コ食べ終えた。
(どう…?美味しいの?不味いの?)
「ちょっと来て」
高遠くんに手を掴まれて早足で引っ張られる。
(何、何!?何で?どこ行くの!!?)
校舎の非常階段の下に引きずり込まれた瞬間。
抱きしめられて。