その背中、抱きしめて 【上】
「ほんとにスパルター」
日もとっぷり暮れた帰り道、ようやく勉強から解放されて空に愚痴る。
「だからスパルタでいくよって先に言ったでしょ」
「そうだけどさ…」
でもやっぱり高遠くんは教えるの上手。
将来は当然バレー選手だろうけど、学校の先生もいいんじゃないかな。
(でも、こんなイケメンな先生がいてたまるか。女子生徒に言い寄られるわ)
「なに百面相してんの」
高遠くんに顔を覗き込まれて我に返る。
「な、何でもない!ちょっと妄想を…」
「妄想?やらし…」
「違うよ!何でもない!もうっ」
私が怒るのを見て高遠くんが笑う。
「…高遠くん、高校卒業したら実業団入るの?」
「何、急に。しかも俺まだ1年だし」
そうなんだけど。
さっきバレー選手か先生かって妄想してたら急に寂しくなっちゃって。
きっと私と高遠くんは進む道が違うから。