その背中、抱きしめて 【上】
「私、今死んでもいい…」
涙でグズグズになった顔を覆った。
こんなに幸せなら、こんなに嬉しいなら。
幸せなまま死んじゃってもいい。
「そんなことさせないからね」
高遠くんが私の手首を持って両手を顔から離す。
「俺は先輩と過ごす時間まだまだ足りない。先輩はもう満足なの?」
私の目をまっすぐ見て、真剣だけど少し優しい表情で。
頭を横に振って否定する。
満足なんてしてない。
この間、高遠くん家に泊まって…一緒にいる喜びを知っちゃったから。
けど、
「でも幸せすぎて、嬉しすぎて…このまま死んじゃっても悔い残らないくらい今幸せなんだもん」
また涙が溢れ出た。
「…あんま可愛い泣き顔で可愛いこと言わないで。このまま連れて帰りたくなっちゃうから」
高遠くんが切なそうに言う。
「早く先輩後輩の関係から解放されたい」
「え?」
私が意味が分からないでいると、高遠くんは焦れったそうに
「”先輩”じゃなくて名前で呼びたい。俺のことも名前で呼んでほしいって思ってるってこと」
って私から視線を外して、顔を赤くした。