その背中、抱きしめて 【上】



高遠くんが連れて来てくれたのは、レトロだけどとってもおしゃれなカフェ。


(こんなおしゃれなお店知ってるんだ…)


お店に入ると、予約席に案内された。

「予約してくれてたの?」

小声で聞くと、返事がない代わりに高遠くんはふっと笑った。


高遠くんはホットコーヒー、私はホットレモンティーを注文する。

ケーキを注文しようとしたら高遠くんに制された。


(ケーキ食べたい…)


しばらくして飲み物が運ばれてきた。

そして追っかけ…ホールケーキがテーブルに置かれる。


「え…?」


たくさんのフルーツが乗った小さめの生クリームケーキ。

ロウソクの火が揺らめいている。




「17歳の誕生日おめでとう、柚香先輩」




高遠くんの声が引き金になって、涙が堰を切ってあふれ出た。



長い指が何度も何度も涙を拭ってくれる。

それでもあとからあとから涙があふれ出て止まらない。


「先輩、泣きすぎ」

高遠くんが優しく笑いながら、何度でも涙を拭ってくれた。


「だって、こんな…」

お店を予約してくれて、ケーキも用意してくれていて。


好きな人に誕生日を祝ってもらえる。

大好きな人に”おめでとう”って言ってもらえる。



泣くよ。

そんなの嬉しすぎて泣くよ。



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