その背中、抱きしめて 【上】
終業式のあとのHRは、最初に成績表を受け取ってからは写真撮影大会だった。
それも終わると、何だかドキドキそわそわしてきた。
「じゃあさくらちゃん、羽柴くん、行ってきます」
「どんな新入生か楽しみだねー」
「どんな奴か後でLINEくれ」
2人に見送られて教室を出た。
高遠くんとご飯食べてから会う新入生2人。
いい子だといいなぁ。
高遠くんも楽しそうに話してたから、きっと2人ともいい子なんだろうなぁ。
階段を降りようとしたところで、頭上で声がした。
「先輩」
上を向くと、高遠くんと前田くんが並んで階段を降りてきていた。
「高遠くん、前田くん。階段で会うの珍しいねー」
3人で昇降口まで歩く。
「2人とも明日から先輩だねー」
「俺、先輩できんのかな。先輩ブランクがあるから先輩らしくできねんじゃねーの?」
前田くんが愕然とする。
「大丈夫だよ。前田くん後輩の面倒見良さそうだもん」
なんせ、あの超絶仏頂面だった入学早々の高遠くんとつるんでたんだから。
「ゆず先輩…やさしー」
前田くんが両手を広げて私に抱きついてこようとする。
と、その瞬間。
「ダメ」
高遠くんが前田くんの学ランの詰襟を指で後ろに引っ張った。
私まで届かない腕をバタバタさせた前田くんがようやく体勢を立て直した。
(…ていうか)
「『ダメ』って…」
私と前田くん、同じタイミングで同じ言葉が出た。
「かわいー!」
「俺、こんな可愛い翔知らない!」
わたしも前田くんも赤面して身悶える。
「翔の独占欲可愛い!!」
「おまえ、何言って…!」
今度は高遠くんが顔を真っ赤にした。