その背中、抱きしめて 【上】
「先輩」
最近聞きなれた声の方向に振り向く。
「遅いから迎えに行こうと思ってたんですけど」
「ごめんごめん。ここからの景色大好きでさ、ちょっと外見てた」
高遠くんが私の隣に来て外を見る。
「山があって海があって、空は青くて風が気持ちいい。嫌なことがあってもここに来れば気持ちが晴れるし、大好きな場所なんだぁ」
できればずっとここにいたいくらいだよ。
「嫌なことでもあったんですか?」
「ううん。でも気持ちいいでしょ?ここ」
高遠くんが上半身を屈めて私の隣で窓に肘をつく。
目を閉じて光と風を受けてる姿は、息をのむほど綺麗。