モテ系同期と偽装恋愛!?

「分かってくれたなら、これからは社内で自分を偽らないで。紗姫が辛いだけで意味ないよ」

「う、うん……でも、女子社員に対してはそれでいいのかもしれないけど、やっぱり男性が……」

横山くんの考え方に則って、女子社員に嫌われることがないと信じたとしても、アプローチしてくる男性たちをどう撃退していいのか分からない。

弱い私の素顔を見たら、きっと男性たちは押せばなんとかなると思って、なかなか諦めてくれないと思うから。

考えただけで出社するのが嫌になりそうで、小さな溜息を漏らした。

すると背中で、クスリと笑う声が聞こえる。


「俺が男避けになるから大丈夫。
彼氏として、紗姫を守る」

「ええっ⁉︎ ちょっと待って、私は……」

「分かってるよ、紗姫が俺に気持ちがないことは。だから偽の彼氏でいい。俺を利用して、まずは男に慣れよう」


横山くんの話はこうだった。

しばらくの間、偽の彼氏として私の側にいてくれる。そうすれば男性社員は私に迫ってくることはないからと。

そして偽の彼氏をしてくれている間に、私は男性恐怖症を克服する。

男性が怖くなければ、好きな人もできるかもしれない。

そこまでいけば横山くんの役目は終わりで、私は本当に好きになった男性と付き合い、以降その人に男避けになってもらう……そんな計画だった。

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