モテ系同期と偽装恋愛!?

「ちょっと可愛いからって、調子に乗っていいと思いますか?」

「ダメです」

「皆さんは横山さんのことが好きですか?」

「嫌いです」

ガタガタと体が震えて、言い返す言葉は出てこない。

違うのに……友達が一番大事なのに……。

ユウ、アヤ、チナツ、皆んな、何度でも謝るから、私のことを嫌いにならないで……。


ハッとして目を開けると、見慣れた天井が目に入った。

夢か……。寝汗でグッショリと湿ったパジャマが気持ち悪い。

枕もとの時計を見ると5時半で、随分早起きしてしまったことを知った。

カーテンの隙間から初夏の朝日が差し込み、ワンルームの部屋に光の直線を引いている。

二度寝する気にはなれずベッドに身を起こして、深い溜息を吐き出した。

なんて嫌な夢を見てしまったのだろう。
前半部分は過去に起きたことそのままだが、後半は違う。

あんなひどい裁判にかけられてはいなくて、あの後実際、小林くんに告白されてしまったこともあり、噂に尾ひれが付いて大多数の女子に嫌われ、ひとりぼっちになっただけ……。

嫌な夢の原因は、昨日の社食での一件かもしれない。

久しぶりに男性社員から強引なアプローチを受けて内心焦ったし、横山くんにも絡まれたから。

横山くんに関しては、珍しいことではないけれど……。

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