モテ系同期と偽装恋愛!?
ベッドから降りて着替えを手に、まずはバスルームに向かう。
まだ寝苦しさは感じない6月中旬だというのに、夢のせいでひどい寝汗だ。
綺麗さっぱり洗い流してバスルームを出ると、気分は幾らか上向きに修正された。
カーテンを開けてベランダに出る。
1畳半ほどの狭いベランダは緑で溢れている。
床にも柵にもプランターや鉢を置き、趣味で草花を植えていた。
ルドベキアに野葡萄、タイムにインパチェンス、アメリカンブルーなど、植物の種類は20ほどで、葉や花が風にそよいでいる。
ジョウロを手に一旦部屋に入り、水を入れてまたベランダへ。
水遣りをしつつ、今朝、花開いたばかりの朝顔に見惚れてしまう。なんとも言われぬ淡い水色が、とても綺麗……。
ベランダの植物に水をあげ終えると、今度は室内の鉢植えにも水遣り。
桃ちゃんが初めてうちに遊びに来た時、緑の多さに驚いていたっけ。
「植物園目指してるの?」と突っ込まれ、それから「こんなに癒しが必要なんて心が疲れているんじゃないの?」と苦笑いされた。
そういうつもりで草花を育てているのではなく、単にガーデニング好きな母の影響だと思う。実家はここよりもっと花と緑に溢れているから。
でも癒しになっていることは否定しない。
嫌な気分の時でも花を見れば、優しい気持ちになれるもの。