モテ系同期と偽装恋愛!?

過去は辛い思い出に溢れているが、今の私の日常は概ね平和で、幸せに暮らしていると思っている。

大切なのは過去より未来。
今の幸せをずっと守り続けていけるなら、穏やかに楽しく暮らしていけるはず。

可愛く咲いてくれた花や癒しの緑に、嫌な夢の余韻を消してもらった後は、出勤の準備をする。

ゆっくりと朝食を食べて、メイクをし、夏物のオフィススーツに身を包んで、いつもより30分早く家を出た。


徒歩15分の会社までの道のりで、途中にある花屋に立ち寄る。

電車の駅前にあるその店は、朝8時から開店しているので、たまに出勤前に切り花を買っている。

というのは、大会議室の花瓶の花を私が飾っているからだ。

勝手にこっそりやっているので、会社は感知していない。

しかも大会議室は、大中小と幾つも有る会議室の中で最も使用頻度が低いので、飾った花は人目に触れる機会がほとんどなかった。

なぜそんなことをしているのかというと、自分のためだ。

会社の中で気を抜くことのできる場所が欲しいと思った結果、目に止まったのが大会議室。

桃ちゃんと目配せし合い、時々仕事を抜け出して、大会議室でふたりだけのティータイムを楽しんでいた。

よい行いではないけれど、そこは大目に見てほしい。

そんな訳で私にとって貴重なその時間をより楽しむためだけに、花を飾っていた。

< 21 / 265 >

この作品をシェア

pagetop