モテ系同期と偽装恋愛!?

胸が締め付けられるように苦しくて、濡れている折りたたみ傘を抱きしめてしまった。

平田さんの恋を邪魔しているのは、私みたい……。

横目でふたりがいる方を見ると、深々と頭を下げている彼女の髪の毛とベージュのコートの腕が少し見えた。

遼介くんは同じ姿勢のままで立っている。

人の多い駅構内で告白する勇気がすごい……いや、周囲の目が気にならないほどに彼女は必死なのだろう。

健気な彼女に同情する気持ちが芽生えても、応援する気持ちにはなれなかった。

心の中に不安がムクムクと湧いてくる。

優しい彼のことだから、こんなに一生懸命に頼まれたらOKしてしまうのではないだろうか……。

平田さんと付き合ってしまうのではないだろうか……。

嫌だ……他の女の子と仲良くする彼を見たくない……。

唐突に心が嵐に巻き込まれ、不安や怒り、悲しみといった負の感情が竜巻のように渦を巻く。

どうしてこんなに嫌だと思うのだろう……先に進んでほしいと願っていたはずなのに……。

嵐の中で戸惑い苦しむ私。
そんな私の耳に遼介くんの少し低い声が届いた。

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