モテ系同期と偽装恋愛!?
10歳以下なら嬉しかったかもしれないが、27歳にもなって玩具の指輪を欲しいと思えない。しかも一回500円のクジは高い気がする。
しかし横山くんは「よっしゃ!」と気合いを入れて、お金を払い、紙のクジが風で回転しているケースの中に腕を入れてしまった。
「兄ちゃん、指輪は5等な」
「5等、来いっ!」
彼の長い指が一枚のクジを捕まえて引き抜いた。
店のおじさんがそれを開くと……「やった!」と横山くんが腕を空に突き上げる。
どうやら本当に5等を引いたようだ。
「兄ちゃん、やるな〜」
「まあね、運だけで人生渡ってきたようなもんですから」
そう言って笑う彼だが、仕事面では決してそんなことはない。
横山くんが真面目に努力しているのは知っている。運だけでは、エースと呼ばれる出世頭になれるはずがない。
二、三歩下がった位置で、彼と店のおじさんの会話を聞いていたら「紗姫、指輪を選んで」と呼び寄せられた。
テントの奥にあった指輪のケースをおじさんが目の前まで持ってきてくれる。
どれでもいいのにと思っていたのだが、間近で見ると思ったよりデザインが凝っていて、可愛らしく思えた。
シルバーリングの先に、星型、花型、球形、ハート、ダイヤと5つの形で5色ずつの指輪が並んでいる。
本物の宝石にはないポップな可愛らしさに惹かれた私は、気付けばどれにしようかと真剣に選んでしまった。
どれも素敵だけど……「これがいい」と手に取ったのは、透明な水色のプラスチックを花型にカットしたシルバーリング。