あの日のチョコをもう一度
「美野里!」


そしたらふと、誰かが後ろからあたしを呼んだ


この声、振り向かなくてもわかる......


だからこそ、あたしはその声を無視して走った


「待てよ!美野里!」


ヤバッ、追いかけてきた


あたしは全速力で逃げた


こう見えても、クラスの女子の中で一番俊足だし、逃げ切れるはず!


だけど、甘かった


グイッ



「ハァ..ハァ..逃げんなよ....美野里....」


「ッ、なんの用?葛原君。後、腕離して」


捕まってしまった、葛原君に


一体、なんの用なんだろうか?


一刻も早く、ここから立ち去りたい


「美野里が俺の話聞いてくれるなら離す」

「断る」

「じゃあ、離せない」



なんなのよ!一体、今更何を話す必要があるの?


「あたしは、あなたの話を聞く道理なんかないの。さっさと離して」

そう冷たく言い放ったら、彼は酷く辛そうな顔をした


「お願いだ!少しでいい!俺の話を聞いてほしい...」


すがるように、彼の腕を掴む力が強くなっていった

痛いぐらいに......


「その話を聞けば、帰してくれるの?」

「嗚呼、約束する」

「わかった。だけど、くだらないと判断したらすぐに帰るから」


彼は、ありがとうといい、腕から手を離した


そして、あたしたちは屋上に行った


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