クールな先輩を恋の矢で射止めます




放課後。



あたしと春歌が弓道場に行く頃には女子たちがたくさん入り口の前で群がっていた。



だけど、ざわざわとはしていなかった。



こそこそと話す人はいたけど、普通の声のボリュームで話す人がいないから静かだ。



弓道場の中でもしーんとした空気の中で、先輩たちは的に向かってつぎつぎと弓を引き始めている。



壁には“一射入魂”と墨で書かれた額を見つけた。



でもきょろきょろと交代するたびに雪名先輩の姿を探すけど、全然見つからない。



それは5分経っても



10分経っても



20分経っても……。



あれ?今日ってもしかして雪名先輩学校休み?



なわけはない。だって部活動紹介の時に弓道部で見かけたし。



痺れを切らした前の女子たちは『なんで雪名先輩いつになっても出てこないの?』と話出した。



< 11 / 71 >

この作品をシェア

pagetop