クールな先輩を恋の矢で射止めます
「どうする?もう帰らない?ずっと立ってるの疲れるんだけど」
「だよね、また明日来ればいっか!」
前の2人は話がまとまったらしく、『すみませーん』と言いながら他に見に来た人たちの中から消えて行った。
その人たちを筆頭に少しずつ少しずつ周りの女子たちは消えて行った。
1人、また1人、今度2人……。
でもあたしは少しずつ前の人がいなくなって視界が開けていくうちにどんどん弓道に興味を持ち始めてた。
あの袴姿、かっこいい。動きにくくないのかな?
あたしも袴を着てみたいな。
きっと相当集中力が必要なんだろうな。
練習を重ねて行ったら、あの先輩たちのように的に当てられるようになるかなって……。
雪名先輩目当てに来たはずなのに、いつの間にか彼のことはさっぱり頭から消えていた。