クールな先輩を恋の矢で射止めます



「雪名先輩……?」



大きすぎない声で彼の名前を呼ぶけど、当の本人は夢の中で返事してくれない。



山崎先輩に相談しにいく?って一瞬頭によぎったけど



先輩だって一年をまとめる仕事の他にも、部長だから部の全体を引っ張らなくちゃいけないし



そんな中、雪名先輩に放置されちゃったからあたしの面倒もみてくださいなんてとてもじゃないけど言えない。



こうなったら自分でできることを頭に入れて、やる気があることを雪名先輩に分かってもらうしかない。



あたしは山崎先輩にもらった弓道教本を片手に、部室にある道具を見ながらひとつひとつ確認した。



「これがゴム弓。正しいフォームを身につけるために使うために使うもの……へぇ~



本物の弓より小さいー!」



部室に置いてあるものはすべて初めてみるものだから、ただでさえ好奇心旺盛なあたしはどんどん楽しくなって



新しいものを見つけては教本をぺらぺらめくっての繰り返しをしていたら



いつの間にか部活が終わったみたいで道具を持ってきた先輩たちが入ってきた。


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