死神喫茶店
そのかわり、止まったはずの涙がジワリと浮かんでくる。


涙を押し込むためにその場に立ち止まるあたし。


それなのに涙は停まってくれなくて、あたしの頬を伝って流れてしまった。


「モコ、どうしたの?」


「舞美が……あたしの隣からいなくなると思って……」


素直な気持ちがあふれ出す。


それと同時に舞美が呆れた表情になった。


「冬と付き合い出したら冬といる時間は増えるけど、だからってモコを忘れるわけじゃないよ?」


「うん……。でも最近、夢羽も、楓も好きな人といい雰囲気だから……あたしだけ1人ぼっちになる気がして……」


まるで子供が駄々をこねているような自分の言葉に、自分自身でも嫌になる。


それでも舞美はあたしの言葉をちゃんと聞いてくれていた。


「みんな一斉に恋人ができると不安になっちゃうよね……」


そう言い、舞美はあたしの手を握りしめた。


「でも、恋人がいるからって友達じゃなくなるわけじゃないよ?」


「……うん」


「モコはあたしの親友。今までのこれからもずっと」
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