死神喫茶店
悲しいゾンビ
放課後、あたしはアルバイトに来ていた。


生きている限り死ぬ。


そんな中で生きていくには1日を精いっぱい生きる事が大切。


でも……精いっぱい生きても叶わない、変えられないことは必ず存在している。


瑠衣と夢羽を見ているとそれが痛いほどよくわかった。


見た目だけじゃ本質はわからない。


辛い気持ちも悲しい出来事も、表面にある笑顔でかき消されてしまう。


「モコちゃん、なんだかボーッとしてるね?」


河田さんにそう声をかけられて、あたしはハッと我に返った。


『ロマン』はすでに開店していて、河田さんは『お客様』を1人解体した所だ。


「ご、ごめんなさい……」


「いやいいよ。お客さんはいないし、君くらいの年齢には色々と考える事があるだろ」


河田さんはそう言って、コーヒーを飲んだ。


「河田さんは……」


「なに?」


「好きな人が死んだ時、辛かったですよね」
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