太陽と月の後継者

〝DRAGON〟


「んー…」

「おはよう 珍しいな、
お前がこんなに長く寝てるのは。」

憎々しい男が自身に話しかける。

それでも、平静を装って顔を緩める。

「そう?“ザンガ”は仕事大丈夫なの?」

なかなか、固いこの男。

“ザンガ”

かつてベルト王が治め、今ではミシェラード学園が建っている世界で最も栄える国の国王アースの右腕。

最近よからぬことを企んでいないか、
国王直々から依頼が来た。

アース王の護衛はシルバー。

ザンガの恋人(スパイ)アキ。

二人係のこの仕事は、約3年務めているのだが未だに解決していない。

最近シルバーはおろか、アキまでもが苛立ちを抑えている。

なかなかしっぽを出さないことにアース王は何時も申し訳なさそうに眉を寄せていた。

「あぁ、もうすぐ終わりそうだ。」

そう言ったザンガに首をかしげる彼女。

一瞬、何かを感じたアキは心の中で笑った。

「クスッ、仕事はこれからよ?」

“早く帰ってきて。”

綺麗な洋装に身を包む男は耳元で言われた言葉に笑った。

「あぁ、もちろん。」

そう言うと、アキの綺麗な頬に口付けをする。

照れたように頬を染めるアキはなかなかの演技力だ。部屋を出ていった男の残香を感じると顔を顰めた。

でもその顔はすぐに戻る。先程の男の言葉を思い出して怪しげな笑みを浮かべた。

“あぁ、もうすぐ終わりそうだ。”

その言葉は全ての終わりを意味する。

「もうすぐ…か」

耳元のイヤリングを持って心の中で呟く。

“「もうすぐ終わるってさ。」”

その言葉に、皆頬を緩める。

皆とは、0の仲間だ。

“「「「「「了解」」」」」”

頭の中に力強い言葉が響くと、
イヤリングを触れるのをやめる。

アキはゆるゆると表情を変えた。

シルバーも、何処かで口元を緩めていた。

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