太陽と月の後継者
ループをした少年の行き先は誰でも容易に想像がつく。
今まで部外者は決して入れなかったアジトは珍しく賑わった。
「クロエの友人達だね?歓迎するよ。
俺は五大魔法使いのクラン。世界で上級魔法使いしか知らない極秘部隊...通称0の隊長を任されている。」
綺麗な金髪に青い瞳。
クロエのことをクレアと呼ばなかったクランに警戒心を示すビアンカ達。
「君たちのことはクロエからよく聞いているよ。
大狼族の次期族長リオ君。
幻人族の次男ヨウテス君。
悪魔族の令嬢ビアンカちゃん。
そして不思議な美少年ルカ君。」
「極秘部隊なんて...聞いたことないぞ。」
ヨウテスが神妙な顔つきで言うと、
クランは当たり前なようにいった。
「極秘なんだから当たり前だよ。
大臣クラスすらも存在を知らないからね。
こう考えれば簡単なことだよ。
五大魔法使いは何故五人なのか。
実際知られているのは警備隊、特攻隊、頭派隊、死神隊の四つ。
可笑しいよね?
こうして考えれば簡単なことなのに...。クロエは君たちに何も言わなかった。それは極秘だから。」
ビアンカは唾を飲み込んで一つの疑問を述べた。
「何故、私たちに教えてくれたんですか。」
クランはその言葉を待っていたかのようにいつもの笑みを浮かべた。
「決まっている。
君たちにクロエを守ることを協力して欲しいんだ。
俺たちは表だって行動できない。だから君たちにはその役目を担って欲しい。」
リオ達は一瞬の戸惑いを見せたあと、頷いた。