悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
姉のように美人じゃなくても、こんなあたしでも、高校生になればもうちょっと何かあるんじゃないかと期待していたんだよ?

それなりに青春とか、恋愛とかさ。

付き合うまでいかなくても、優しくてかっこよくて憧れちゃうような人がいるんじゃないかな、なんて思ったりもしたんだよ?


__ところがどっこい、蓋を開けてみれば高校生には部活と勉強しかないじゃないか。

青春ってどこにある。


姉はカッコイイ幼馴染と恋愛に発展しそうな予感でいっぱいなのに、妹のあたしは一体どこで道を踏み間違えただろうか。

ああ、本当に運がない。


はあ、とため息を一つこぼしてシャベルを手に取った。



「どっかに、イケメン、落ちて、ないかな!」

ザク、ザク、と小学校の校庭を掘る。


おっと、心の中の願望が口から漏れ出ていたようだ。

慌てて口を押えてあたりを見渡すけれど、この場にいるのは私と姉と朔兄だけ。しかも2人とも私の言ったことなんて聞こえていない様子で作業を続けていた。

ほっと胸をなでおろして再びシャベルを持つ。

ザク、と地面に突き立てると、ガン、という金属とぶつかった音がした。


「これは、当たりか?」


あたしは無我夢中で地面を掘った。


「佐奈、どうしたの?」


お姉ちゃんがあたしの様子に気づいて駆け寄る。


「もしかしたら当たりかも!さっき何か金属っぽいものとぶつかった音がしたんだ!」

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