You donot have other than(貴方以外ない。)

陸···話す


次の日の夕方俺は、病院から出てくる
乃愛を待っていた

乃愛は、俺の顔を見て
びっくりした顔をしたが
「佐々木先生、お疲れ様でした。」
と、俺の前を通り過ぎた。

俺は、乃愛の腕を掴んで
「話がある。」
と、言うと

「私には、ありません。
先日、私に構わないで下さいと
言いましたよね。」

「お前な!!
俺は、お前の命の恩人なんだよ。
そんなに邪険にするな。」
と、輸血したことを持ち出して伝えた。

「最低ですね。今、それを言いますか?」
と、言うから
「最低でも、何でもいいんだ。
俺は、乃愛に話があるんだよ。」
と、言うと
「わかりました。
お聞きします。但し今回だけですよ。」と。

「じゃ、ついてきて。」
と、言い駐車場にむかう俺の後を
乃愛は付いてきた。

俺は、乃愛を車に乗せ出発した。

「どちらへ?」
と、訊ねる乃愛に

俺は、今は何も話さなかった。
乃愛は、窓から外をずっとみていた。

しばらく走り車をとめて
俺は、
「おりて。」
と、言った。

そこは海だ。

俺達は、少し歩いた。

俺は、後にいる乃愛に

「なあ、乃愛?
俺に婚約者がいると
言われて、どう思った?」

「どうって‥‥‥
びっくりしたのと。
そんな人のいる先生に
血を分けて貰ったり
食事に連れて行って貰ったりして
申し訳ないと。」

「それだけか?
がっかりしたとか
悲しかったとかない?」

「·······ん?
なかったと、言ったら嘘になりますけど。」
と、言うと
「じゃ、少しは俺に
気持ちが動いていたと思っていいのか?」
と、訊ねると
「先生、やめて下さい。
そんなこと、無意味でしょう。
先生には、婚約者がいる。
私は、本気になる前で
良かったと思っているんですから。」
と、言われて

「俺に本気になれ。
俺は、血を輸血してから
ずっと、乃愛が気になって
乃愛に心を奪われている
俺じゃダメか?」
と、言った。
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