Love Cocktail
そんな事をなんて考えていたら、オーナーがすぐ近くに腰をかけ、ベッドが沈んだ。

今はカフスを外して、何か考えている。

「……君は、自分の店を持ちたい訳なんだよな?」

「え? うん。まぁ、いずれ……?」

不思議そうな顔をすると、彼は一人で頷く。

「うん。ま、それはラウンジのマネージャーから聞いてるから……」

それから私の顔の横に手をついて、頬にかかった髪を優しくサイドに払いのける。

おや?

「……なら、経営も学ばないと。実家とは違うものを目指しているんだろう?」

実家はもともとスナックから始まった。飲むのが基本。

でも、なんで私が料理教室?

お店の経営と料理学校が繋がらない。

いや、自炊をするなら料理学校に行った方がいい様な気がするけど……それイコール料理学校にはならないような?

だいたい、今すぐにお店経営なんて自分自身まだ無理だと思ってるのに。

そして、何げないけど、超気になることがあるんだけどさ?

「今ね、俺が見ている店舗を一条グループから外してる最中なんだ」

「え……?」

彼を見ていると、ゆっくりと顔が近づいてきているような気がしてならないんだ?

めちゃめちゃ抱え込まれてるって言うか、覗き込まれているって言うか?

ちょっと、パーソナルスペースを超えてる感があるなぁー?

「と言っても、所詮は子会社なんだけど……いつまでも親にクチバシ挟まれちゃ、かなわないからね」

そう言ってニヤッと笑うから、愛想笑いを返す。

「ま、そんな感じで、いろいろゴタゴタしてるんだけどさ」

「は、はぁ」

「そもそも、飲み屋系列は俺が立ち上げた様なものだし、株式を買い上げたりなんだりとしてるワケ」

「へ、へぇ?」

だから、なんだと?

「おかげで時間はなくなったし、一度は取り逃がしたけどね」

ヒュッと息を吸った。

な、何でしょう。いつもとは、なんだかオーナー違う気がする。

それがなんだか……どうしましょう的な胸の心拍数がガンガン上がってきてるっていうか?

「あ、あの?」

「……ん?」

どちらかと言うとですね……真面目な話なのかもしれないけど、この体勢で全然頭に入ってこないし。

「話しが見えない」

ちょっとだけ、彼はガッカリした。
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