Love Cocktail
「……君とは正反対じゃないか」

ボソッと言われて、キッと睨み付ける。

「だから苦労してるんじゃないですか!」

「あー……。そうだね」

納得されたらされたで、悔しいですが。

オーナーは頷いて、じっと見つめてくる。

その真摯的な眼差しに、こちらがドキドキ……しちゃうじゃないですか。

「本気で?」

「もちろん本気です!」

「じゃ、もっと可愛くならなきゃだな」

可愛く? 小悪魔とか言われる私が?

「いいかい? その男の好みを薙ぎ倒すくらい、可愛くならなきゃ駄目だ」

「可愛く……ですかぁ?」

確かに早苗さんはある意味では可愛いかもしれないけど、ちょっと違うような気もするんだけど。

「君はどう見ても可愛い系だし、無理をしてみたってたかが知れてる。話せばそのアニメ声で撃沈だろう」

無理。たかが知れてる。アニメ声。撃沈……。

「ひどい言い様ですね」

ボソッとした呟きは聞こえていない彼は、またもや一人で頷いている。

「だからまず、デニムパンツと無意味な大人っぽい格好もだめだな。フリル過剰はやり過ぎだが、シフォンチュニックとか、いろいろとだね」

その後もオーナーは俄然張り切って。

「ロングニットにミニスカートはそそるよね」だの。

男性のくせして、やたらとファッション用語を並べ立てて……。

目を白黒させているうちに、明日の午後、買い物に行く約束までも取り付けた。










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