Love Cocktail
静かな疑問に胸の奥が鳴り始める。

そんなこと……い、言えませんよ。今は、まだ。

「……店の人間か?」

「運転中に考え事は良くないですよ!」

オーナーはニヤッとからかうようにして笑う。

「勿体振らずに教えて?」

「駄目です!」

「いいよ。勝手に推測するから」

「それもやめてください!」

慌てる私をオーナーはちらっと見て、そして一人で納得する。

「その慌てぶりからすると、俺の知っている奴だね」

結論を出して眉をひそめた。

「しかし、君より年上なんて店にはたくさんいるからな」

「だから! 推測も辞めて下さいってぇ!」

しばらく沈黙した後、彼は溜め息をついた。

「全然判らないな。だいたい君は巡回してるし、それだけでも五店舗ある」

そうですね! それでオーナーは、それ以上のお店に顔を出してるんですよね!

「教えてくれるつもりは全くない訳か?」

今は……まだ。

「……これから先」

ポツリと呟く。

「先?」

「オーナーから見て、とても可愛いと思った時に」

「告白する前にって事?」

頷くとオーナーはまた溜め息をついた。

「俺の及第点ね……」

そうです。貴方の及第点が私には必要なんです。

ただ……その言葉に、先はまだまだ遠いことが解った。









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