Love Cocktail

Pure love

*****



1月にお店を再開して、なんとかなって来た頃。

おバカな兄貴の経過もよく、ようやく退院して来た。

「本当に迷惑したんだからねえ!」

1月の売り上げと発注した物など、全部書きだしたノートを差し出して腕を組む。

「悪かったって」

ちなみに、2階では一応は退院してるけど、親父様がまだ腰が痛くてうんうん唸っている。

「それにしても売り上げ伸びてるじゃん。俺、立場なし?」

持っていたボールペンをスパンと投げ付けた。

「半分くらいはお兄ちゃん目当てのお姉様たちで、半分はそのお姉様たちが連れて来てくれたお客様」

「ススキノだからな! モテる兄がいて幸せだろ」

「馬鹿言ってないでお姉様たちに感謝してよねえ!」

そう言って、立ち上がった。

「それで、お前はデートか? おめかしして」

「これから知人の結婚式」

兄貴は手を打って頷く。

「今日だったか」

「うん。で、またちょっと旅に出るから、落ち着くまで荷物よろしくぅ」

兄貴は倉庫のような状態の、2階の部屋を思い浮かべてるらしい。

「また東京?」

「大阪かなぁ。関西の方のバーも見てみたいし」

「帰ってきて手伝えばいいじゃんか」

「兄ちゃんに使われるなんて、背筋凍るもんね」

アッカンベーをして苦笑すると、兄貴も苦笑してこたつに潜り込んだ。

「その式の後、すぐに行くのか?」

「ううん。解らないけどホテルに泊まって、それからぶらぶら」

「金持ちだな……」

「兄ちゃんは使い過ぎ」

言い添えて、キャリーケース片手に家を出た。





***



春は桜が咲くけれど、まだ雪の残る高架下を抜けて、流石の寒さに大通りを越えてからタクシーを拾う。

早苗さん達の結婚式は、中島公園に近いホテルで行われる。

て、たぶん、もう披露宴も始まっている頃。

桐生氏の親戚として、オーナーも来るって事をすっかり抜け落ちていて、最初から挙式にでずに遅刻していくつもりで家を出た。
< 94 / 112 >

この作品をシェア

pagetop