私の声、届きますか?
「ただいま……。」

雪音は帰りたくない家に着いた。何故帰りたくないのかは後で説明するとしよう。

「おかえり!雪音!」

私の帰りを待っていたのは姉の琴音。私とは違い、成績優秀、眉目秀麗、運動神経抜群、親の期待、何もかもを持っている。

「なんで姉さんは私の迎えをしてくれるの?」

駄目だ。姉さんに言ったら姉さんが傷つく。手が震える。声が震える。

「……『なんで』?妹のお迎えは可笑しい?取り敢えず、部屋に行こう。そろそろ帰って来ると思ってたからお菓子と飲み物、用意してあるよ。」

「……うん。」

私は姉に誘われるがまま部屋に行った。姉さんがホットココアを2人分、あとお菓子を持ってきた。

「もしかして……学校でなにかあったの?」

姉さんは鋭い。確かに学校では色々あった。その事を姉さんに言った。

「へー。雪音は学校で歌ってたんだ。確かにその男の子は見る目あるわね……雪音はほかの子より断然声は綺麗で純粋で可愛いものね!折角だからその子とは仲良くしておいたら?その子は今までの人とは違うんでしょ?」

「う、うん。でも、人と話すなんて姉さん以外は初めてだったから……これからも話せるなんて自信ないよ。」

姉さんは自信満々に私を褒めそしてアドバイスをくれたが、正直私はやっていける気がしない。そう、私は小学校の頃から姉さん以外とは喋らなかったから。
そうして、少しおしゃべりをして自室に戻り寝ることにした。
< 7 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop