幻が視る固定未来


「幻視様、はっきりと言います。木下有希乃は今日をもって解雇となります」


「……何?」

今、助歌はなんて言った?
有希乃を今日限りで解雇だと?
そんな冗談笑えない。笑いたくもない。

オレは悪質な冗談だと敵意を込めて助歌を睨み、本当の答えを聞くため無表情を作り母上に向けた。

「はぁ、やはり聞いてませんか。木下の解雇は昨日の段階で決まっていた」
「昨日?」
「そう、ちょうどお風呂から上がったところで助歌に連れてこさせました。そして明日の解雇について話しました」

オレが昨日について疑問を持っているのは呼び出したことではない。昨日から解雇が決まっていたということ。
だって有希乃はオレに大丈夫と言った。だからオレは安心したんだ。

オレは無意識に後ろにいる有希乃を見た。
有希乃は一度オレと視線を合わせるとすぐに目線をずらし口を開く。

「条件は守ってもらいます。それが約束」
「もちろん、貴女が言ったことは守ります」

有希乃は否定しなかった。
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