幻が視る固定未来
そう、オレはそう思っていた。だからこそ余裕が出ている。だけど、母上は有希乃に反撃するのではなく、あろうことかオレに顔を向けた。

「確かに木下の条件は継続中であり、あの部屋は木下有希乃の部屋です。しかし、本当にここにいてもいいのですか? それを認めていいのですか? 木下を認めるということはあなたの道に逸れます」

それは確認だというのか。
オレはさっき言ったはずだ。そうまでして、自分の気持ちを裏切ってまで真の玄武になりたいとは思えない。
――なら、ここで有希乃を認めるということは即ちオレが玄武でなくなるということ。そんな未来考えたこともないぞ。
正直、玄武としての道しか目指していなかったし、考えてもいなかった。だってそれがオレの運命にして固定未来。それがたったひと言でなくってしまう状況。

不明確未来。

オレはその道を歩けるか? 何を目指せばいいかも分からない道だ。
けど、だからこそオレは思ったんだ。このまま有希乃を否定しても玄武になどなりたくない。

肯定でも否定でも結果的に玄武を失う。ならオレは有希乃のいる世界を、未来を選ぶ。その方が絶対に楽しいし幸せだろうから。

「オレは有希乃が好きです。どうしょうもないくらい。だからやっぱり変わらない。ここで有希乃を諦めるなら玄武を捨てる」

言い切った。完全に、冷静に答えた。さっきの勢いとは違う。ちゃんと考えた上で話したんだ。
きっと母上からに軽蔑されるだろう。これっきり口を利かなくなるかもしれない。それでもオレは有希乃を選ぶんだ。
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