幻が視る固定未来
約束の地
――――――差ほどの説明も受けないまま今日が来て、そしてここにいる。

受けた説明は簡潔で、いきなり今日青龍と会うらしい。そのためにオレと有希乃と母さんは呼ばれた場所に車で向かっている。

思えばこの三人だけでどこかに出かけたのは初めてのこと。
助歌はエデン出身者ではないため今日はいない。青龍との面談に危険はまずないだろう。久し振りにある自分の友に会うのが嬉しいらしい母さんは、助手席で運転士といつにもなく明るく話している。

――――――だけどオレは全く逆、何か胸騒ぎがする。ただ急過ぎたからなのかは分からない。

「心配?」

不意にオレが暗い表情をしたからだろうか。隣にいる有希乃はオレの変化に機敏に反応する。

「いや、ちょっと違和感を感じてな」
「違和感? どんな」
「それが分かれば苦労はしない」
「そう、確かに今日という日は早すぎる」

有希乃もそれなりに違和感を感じているらしい。いや、オレがそんな雰囲気を出したからか。
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