幻が視る固定未来
「この俺に勝てるとでも思ったか?」

背後から聞こえる声。
けどそれは錯覚。正確に私には何も刺さっていない。そう殺気により感じただけ。

痛みのない者に対して最も有効なのは精神面への攻撃、やはり黄龍ということか、こっちの方が戦い慣れている。

-―しかし気になる。そんなことをしなくても、あの黄龍ならば瞬時に私を殺せた。私を殺したくない理由があるということ?
この思考中ですら隙があるにも関わらず攻撃をしてこない。

「はぁ!」

だけど好都合。そんな余裕がある内ならば私にも勝ち目はある。
立ちあがるとすぐに駆け出しカマイタチを片手で振る。

「おっと……」

両手よりもはっきりと遅い振り、そして不意を突いた訳でもない、ただの一振りだった。強いて言うならば二撃目にかけていた。

――だというのに、どうして黄龍の手が赤く染まっているのか。

「なかなか良い武器だ。切れ味が良い、人を殺すのに最適だ」

黄龍になんの表情の変化がない。ということは故意に受けたということ。怪我をしたい理由があったということ?
不意のことに止まってしまったけど、この間合いならまだ追撃が出来る。けど危険性は?
罠である可能性は?

カット。
罠であるならそれでも構わない。時間を浪費することはこのチャンスを消す。ならば斬る。
< 304 / 383 >

この作品をシェア

pagetop