幻が視る固定未来
ただいま
――子供のように泣いて、そして泣き疲れるように灼蜘は意識を失った。

仕方がない。今まで先代で誰も出来なかったことをしたのだから。
意識を失っても私は存在出来ている。きちんと共有化が出来ているということ。

ありがとう、私がここにいえれるのは他の誰でもない。
私でもなく灼蜘、あなたのおかげ。

神素解放状態に近いくらい、力が漲る。
ちょっと神素の送り過ぎ。これだと灼蜘にほとんど神素は残らない。けどそれを灼蜘が望むのならそれでいい。
その分、私が手助けする。それが灼蜘の召使いだから。

私はそのまま意識の失った灼蜘を肩にかけると、もう一つの肩が現れた。

「芳原奈々、いつから?」
「んと、多分、ほとんど最初からかな」

まずい状況だろうか。最初からということは灼蜘が具現化を始めた時から。
こっちに来たのなら気配で感じるが最初からいたなら分からない。恐らく共有した地点で灼蜘が知っていたならなおさら。

それなら全てを説明したということ? けど常人では理解など出来る訳がない。ましてや目の前でそんなことが起きたなら、結局は怖がるのが普通。

どうゆうこと?

「とりあえず灼蜘君を運ぼう。その後、色々と話を聞きたい」

私は一度だけ頷き、歩きだした。
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