幻が視る固定未来
灼蜘の部屋に着き、ベッドに寝かせると私と奈々は椅子に座った。

「どこまで理解している」

私は状況を把握できていない。
聞くのが一番だろう。とりあえず奈々は興奮している様子もなく冷静。ちゃんとした会話が出来るだろうから。

「何にも理解できていない。っていうのが普通なんだろうけど、私は別かな。そのためには私のことを話さないといけない」

何か確認を取るようにこっちを見ている。要は聞きたいかということだろう。

「聞く」
「ありがとう。多分、ついさっきまでの出来事を普通の人じゃ理解出来ないし騒いでいるところだけど私は違うの。灼蜘君や木下さんみたいに神素と呼ばれるものに恵まれなかったけど、私の血の半分はそうゆうものが含まれているらしい」
「両親のどちらかがエデンの民ということ」
「うん、お母さんがそうらしいの。実際にはどう違うのか見せてくれなかったけど、人とは違って特別だっていつも言われてきた。いつも私のことを気にかけてくれる優しいお母さんだったから大好きだった」
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