幻が視る固定未来
とりあえず分かったのは、有希乃はオレが決めたことだから従った。それに感情は多分ないんだろう。オレは……ちょっと話を聞いてあったけど。
後、なんとなく怒っているような感覚があったのはオレではなく助歌に対して。まぁ案外仲が悪いっていうか気に入らないんだろうな。
意外な感情って言ったら失礼かもしれないけど、それでもあの有希乃の口から『ムカつく』なんて言葉を聞くなんてな。

ちなみにだ、有希乃が言ったオレの剣道での癖、多分合ってる。無意識でも意識的でもやってるみたいだから間違いないだろう。
有希乃ならオレを強く出来る。強く育ててくれる。母上の命令は確かに絶対だ。間違いなんてないだろうし、何よりも父と一番時を同じにしているしいくつもの文書も預かってるらしい。つまり一番“玄武”を理解しているってこと。
けど、それが常に最善とは限らない。有希乃のような例外的な存在は現れると思う。それこそ一人じゃない。もっといっぱい。

強き者から学ぶ。それは強くなるための基礎。
学びたい者から学ぶ。それは強くなるための意思。

この二つがないとオレは強くはなれないと思う。この条件に助歌は該当していない。なのに学んでいるということは、すなわち母上の命令という“例外”だ。
すでに例外は存在している。ならば有希乃もまた例外として認められるかもしれない。

オレは“ある思惑”を堅く決意したのだが、その前に知っておかないと、確認しておかないといけねいことがある。
だからオレは有希乃に確かめた。

「有希乃はオレがなんであんな訓練してると思う?」
「強くなりたいから。それ以外ない」
「まぁ間違ってないけど、目的があって訓練してるけど、それは結局いつになるか分からない。それでも有希乃はオレを強くしてくれるか」
「当たり前。いつまでも灼蜘が強くなり続ける限り、私はいつまでも一緒にいる」
「ありがとう」

また、素直に嬉しくなりオレは礼を言って部屋を出た。これで完全に迷いはない。目的を知らなくても有希乃なら大丈夫だ。きっと迷わずオレを強くしてくれる。
だったら行くしかない。有希乃の例外を認められる人の元に。
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