らしくないけど
「ほんとお前咲良のこと好きな」
「当たり前じゃん、加地くんの大事な人なんだから」
…あーもうほんとにこいつは…
「大事な人の大事な日なんだから、あたしの分までしっかりその姿を目に焼き付けてきて。そしてあたしに話して!」
こんな風に当たり前に俺の大事な人のことも大事だと言う。
簡単そうに見えて、実は結構難しいことなんじゃないかと思うんだ。
「行ってらっしゃい」
笑顔で手を振る高野。
あーあ、ワンピースでも着てくれば、しれっと披露宴に連れて行ったのに。
「ほら、早く行ってって!」
「もうほんとにお前はムードがねえな」
「そんなもん帰ってきたらいくらでも作るわ!」
「いやその言い方な」
なんて言いながらも、このやり取りが結構好きなあたり、やっぱり俺には高野しかいないと改めて思う。
「加地くん!」
少し離れたところから俺の名前を呼んだ高野。もうほんとに楽しそうに、悪戯する子供みたいな顔で、言った。