恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


彼女でもない人に高価なプレゼントを買った人の気持ちなんて考えたこともないんだろう。

知美にしてみれば、誰かが自分のことを大事に思ってくれることは、特別なことじゃない。ごく自然なことなのだから。

佐伯くんが可哀想……。

何も言えなくなって唇を噛みしめていると、ドンと肩に何かがぶつかった。

ビックリして顔を上げると、そこには背の高い男の人が。


「……そんなところで立ち話されると、非常に邪魔なんだが」


上に上がった直線的な眉毛。それとは対照的な、少し垂れた瞳。右目の下まぶたに、ほくろが一つ。

大きすぎずちょうど良い鼻に、薄い唇。

触ったら指が切れてしまいそうな、四角のフチなしメガネ。

顔が見えるようにすっきりとセットされた黒髪は、長すぎず短すぎず。


「そうよ、邪魔よ姫香。早くどきなさい」


いつの間にか壁際に身を寄せていた知美が、しれっとした顔でしっしと手を払う。

な、なによう。私だけ邪魔者扱いして……!


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