恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「お前も邪魔だよ」
その人はぼそっと知美にも言うと、のっしのっしとその場から離れていってしまった。
ああ怖かった。確かあの人は……営業部長の日下さんだ。
一応人事部だから、全員とまでは言わないけれど、ほとんどの社員の顔と名前は頭に入っている。
日下さんはたしか二十八歳。私より三つ年上。
実は社長の息子で、若いうちに現場を経験してから経営に回るのだと噂されている。俗に言う御曹司ってやつだ。
だけどただのバカなボンボンじゃなく、仕事もできるらしい。人事部の評価チームがそう言っていた。
「姫香、私はああいう人がいいな」
「え?」
「ああいう人と付き合いたい。簡単に振り向いてくれなさそうでしょう。ああいう人を自分から振り向かせたい」
そう言う知美の熱のこもった視線の先には、あっという間に小さくなった日下部長の背中が。
「でも、自分から告白なんてダサいことはしないわ。いつかあっちから言わせてやるの」
自信に満ちた、知美の声。