恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「地べたに座ってメシを食うなんて、小学校の遠足のとき以来だな」


一成はそう言いながらウェットティッシュで手を拭き、私が差し出したサンドイッチを受け取る。これは、公園の近くで美味しそうなパン屋さんを発見したので、そこで調達したもの。


「私もですよ」


厳密に言えば、高校生くらいまで友達とコンビニに寄って、買ったものをそのへんで食べたりしたことはあるけど。

彼が大きな口で、カツサンドを頬張る。私はその横で、卵とハムのサンドイッチを頬張った。


「意外に美味いな」

「はい、美味しいです」


ぱくぱくとそれを食べ終えると、一緒に買ったキャップ付きの缶コーヒーを開ける一成。

私がペットボトルのジャスミンティーを開けるのに苦心していると、黙って取り上げてキャップをひねってくれた。


「はー……」


コーヒーを一口飲み、一成が息をつく。


「大人になってからはこういうの、初めてだ」

「公園デートですか?」

「ああ。悪くない」


一成が前をよちよちと歩いていく、一歳くらいの女の子を見て微笑む。

良かった。意外に気に入ってくれたみたい。


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