恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「私なんて、デート自体が初めてです」


中高生の頃の休日は家でだらだらしているか、友達をショッピングセンターをうろついてた。大学生の頃は、バイトばっかりしてたっけ。寂しい人生だった……。

遠い目をしていたのか、半笑いで一成が答える。


「ウソだろ」

「本当です。知美がモテまくってたのを、遠くからボーっと見てるだけでした」

「それは残念だ。こんなに可愛いのに」


指で私の頬に触れた一成の目が細められる。

仕事の時には見せない優しいまなざしに、胸が熱くなった。

彼は私の頬から卵の欠片をとって食べる。

わあ恥ずかしい。ほっぺに食べ物つけるなんて、子供みたい。


「こんなにリラックスしたのは久しぶりだ」


ごろりとレジャーシートの上に横になる一成。

私も一緒に横になってしまおうかと思ったけど、スカートなのでやめておいた。

こんなに穏やかな気持ちになれたのは、私だって久しぶりかもしれない。

彼を好きになってから、知美への嫉妬や、人事部の上司たちへの怨念を感じることが少なくなった。


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