恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「落ち着いたら教えるから」
なんて、落ち着いたって白状する気はさらさらないけど。
「ダメ。今日じゃないと」
「ええ~。もう帰ろうよ~」
スマホを見たら、いつの間にやら午後九時。
深夜というわけではないけど、そろそろ母に電話しないと心配するし。
「そうね。その変な彼氏から連絡が来るかもしれないし」
知美は意外にもそう言って、残りの半分を出して会計を済ませる。
そしてお店を出てから、また悪魔のような顔でにやりと笑った。
「朝まで連絡が来なかったら、相手の女とヤッてしまったと思って諦めなさいよ」
なっ……! こいつ、残酷なほど美しい顔で何を言うか!
「ひどいっ」
「おほほほほ。相手の名前を教えない罰よ。いじめられなさい」
「この、悪魔~!」
そうして、私は駅までの道を知美にいじめられながら歩くことになってしまったのだった。