恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
知美が言うように私の表情を変えてくれたのは、きっと一成がいたから。
彼の言葉が、指が、モノトーンだった私の日常に色をつけてくれたんだ。
「そ。よっぽどその男が好きなのね。で、そいつの名前は?」
「はっ?」
「どんな会社に勤めている、何歳の人?」
突然の質問攻めに絶句してしまう。すると、知美はにやりと笑った。
「やっぱり。言えないってことは、社内の人間だ」
しまった! 適当に答えるべきだったのに必死で隠そうとするから、余計に怪しまれる結果に。
「いや、違うから。あ、話聞いてくれてありがとう」
店長にお会計を頼み、半額分を差し出す。
すると、その手首を握られてしまった。
「何勝手に帰ろうとしてんの? 返す気ないんだけど」
もしかして知美さん、酔っぱらっていらっしゃいます?
イケメンに言われたらキュンとしそうなセリフを、あんたが言ってどうする。