恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「反論できないのか。情けないやつめ」
副社長が横から入ってくると、一成はまるで矢を射るような視線で彼をにらむ。
「何も、彼女はお前と別れたいなんて言ってないじゃないか。少し頭を冷やせ。こんな風になってしまった以上、一緒に働くことなんてできないし、しばらくは記者がつきまとうかもしれないからデートもできない。我慢しかないだろ」
こんなときばかりお兄ちゃんぶった口調の副社長は、腕を組んだまま淡々と話す。
「さ、お前も俺も社会人。そしてここは会社だ。お互い自分の仕事を全うしようじゃないか」
そう言われた一成は、ぎりっと歯を食いしばるような表情を見せた。
次の瞬間にはくるりと踵を返し、大股で部屋の出口へと歩いて行ってしまう。
「一成」
思わず呼び止めてしまうと、彼はドアノブに手をかけたままぴたりと止まった。
そして、ゆっくり振り返る。