恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「俺は遠慮します。片付けの人手が足りなさそうですから」
そう言ったのは、とても意外な人物で、思わず息を飲む。
だって、最前列の椅子を畳みながら返事をしたのは、日下部長だったから。
「おい、これはどこに運ぶんだ?」
「あ、え、えと、あそこの扉を開けると収納があるので、そちらに」
尋ねられた田村くんが、正直に答えてしまっている。そうじゃないでしょ!
「日下部長。ここは大丈夫ですから、どうぞお帰りください」
慌てて駆け寄り、パイプイスを受け取ろうとする。けれど部長はその手を離そうとはしなかった。
「日下部長~。片付けなんて若者に任せておけばいいんですよ~」
「そうそう。たまには役にたってもらわないと、ね」
人事部のおっさんたちが、作り笑顔で部長を説得しようとする。
そりゃ、創業者一族を置いて、自分たちだけ飲みに行くのは気が引けるもんね。
って言うか……“たまには”ってなんだ?
一拍遅れて怒りがつま先から上ってくる。
ほんとに、毎日毎日、お前らのサボりのしりぬぐいを、誰がやってると思ってるのよ。