ひなた と ひかり





「ごめん、おまたせ!!」






数分もすれば、歩美は廊下にでてきた。


さきほど話していた男の子も一緒だ。





「それじゃあ、雅矢(マサヤ)くん、またあとでね」
「おう」






雅矢、そう呼ばれた彼も友達を待たせていたようで小走りで廊下を通っていった。


私の顔を見た歩美ちゃんは





「ねえ、ひなた、おねがいがあるの」





肩をがっちりとつかみ、目と目を合わせた。


あまりの勢いに何を言われても私ははいといってしまいそうだ。






「ど、どうしたの?」
「私、雅矢くんに一目惚れしちゃった。これから一緒にカラオケ行くの。おねがい、ひなたもついてきて!」





両手を顔の前で合わせた歩美。





歩美は可愛いし、中学の頃、私が知っているだけでも何度も告白されている。


けれども彼氏がいたことは一度もない。




だから私は勝手に歩美は彼氏とかいらないんだと思ってた。





そんな歩美が恋をするなんて。






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