関係が変わるとき

決心

自分の気持ちに気づいてから、数日経った。気が付けばもう2月だ。
俺は、俺なりに決着をつけようとしている。

佳奈美に、佳奈美と結婚する気がないことを告げよう、
そして、ユウにも自分の気持ちを伝えよう、そう思っていた。

俺が中心となって開発をすすめていた特殊洗剤と専用スポンジのセットが
商品化されることになった。洗剤は手荒れに配慮したもの、洗浄力が劣る分、
特殊加工をほどこした専用スポンジを使うことでこれまで以上に
簡単に油汚れの食器をはじめ、シンクの水垢など洗い流せるというものだ。
モニターの使用感も上々だった。

実はこの成果をきっかけに社長からアメリカの業務提携先での研修を打診された。

「小林くん、1年間アメリカに勉強に行ってこないかね。うちと技術提携している
アメリカのSG社の研究室で君のような人材を欲しがっていてね。
うちの大切な社員だから1年間なら出せるが、それ以上は困るといってあるんだ。
だから何年も向こうにいるということはない。それは保証する。
君、独身だし今がチャンスなんじゃないか。まぁ、考えてみてくれないか。
我が社としても、SG社とのつながりは大切にしたいしね。」
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