関係が変わるとき
この話を聞かされたときは、どうしたものかと思ったが、
仕事の面では、新天地で自分を試してみたいという気持ちがあった。
プライベートの面では、アメリカ行きをきっかけに佳奈美にもユウにも話ができそうな気がした。
卑怯な考え方かもしれないが、二人に話をして、気まずい状況になったとしても、
必然的に距離を置くことができる。

「社長、もし承諾したらいつからでしょうか。」

「ビザの手続きもあるし、君自身の仕事の引き継ぎなどもあるから、
4月下旬から5月がめやすというところだな。」

「わかりました。自分を試してみたいので、ぜひやらせてください。」

「突然のことだから、返事はもう少し考えてからでもいいんだぞ。」

「いえ、このチャンスを逃したくないと思ったもので、ぜひお願いします。」

「そうか、また詳しいことは君の上司の長谷川くんと、人事部長を交えて相談しよう。」

「よろしくお願いします。」

俺のアメリカ行きは決定事項となった。
< 17 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop