関係が変わるとき
今日はとうとう、ユウのご両親に会う日。
俺たちは、というか俺は時間的余裕がないため、新幹線での移動となった。
青森に着くと、温かく出迎えてくれた。ユウは入社したときから、俺のことを兄的存在としてご両親に話していたようで、

「初めてあった気がしないわね。」

とお義母さんに言われた。
お義父さんも快く、

「君もアメリカへ行く前の何かと大変な時期に、こうやって誠意を見せてくれてありがとう。君のことは信頼している。これからもユウをよろしく頼む。」

と言ってくれた。

「慌ただしく、お邪魔してすみません。本来なら、俺の方の両親とも引き合わせる場を持つべきなのでしょうが、ご無礼をお許しください。」

「そう告げると、二人はもう大人同士なんだし、今どき、そういってくれる人がいると思うだけでありがたいよ。そのことばで、ユウや私たちを大切にしてくれているのが伝わっている。」

お義父さんのことばにお義母さんは涙ぐんでいた。もちろん、婚姻届の証人欄にサインをしてくれた。
ユウにとっては久しぶりに帰った実家だというのに、俺といっしょに東京に戻ることになった。アメリカに発つまで少しでも俺と一緒にいたいと思ってくれているようだ。

二人で青森駅に向かうと、びっくりするようなことが起きた。
ほぼ、ユウと同時に

「おじいちゃん!」

と叫んだ。

「えっ!なんで。」

ユウと顔を見合わせる。ユウの祖父と俺の祖父が並んで歩いていたのだ。
新幹線の出発まで駅の喫茶店でおじいちゃんたちとお茶を飲んだ。ユウの祖父と俺の祖父は学生時代の親友だったらしい。ちなみに、俺の祖父は母方の祖父だから、名字は小林ではない。吉田だ。おじいちゃんたちは俺たちの名前に不思議な縁を感じていたようだ。俺たちは出会うべくして出会ったのかしれない。別れ際、二人の祖父にひ孫を催促された。

「おじいちゃん、私たちの結婚式が先だからね!」

ユウは恥ずかしがって、そう宣言した。

「おばあちゃんたちにもよろしくお伝えください。俺たちの結婚式、楽しみにしてください。」

そう挨拶して、青森を後にした。
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