窓ぎわの晴太くん


日曜日、里子は大学時代の友達とランチの約束をしていた。
晴太の連絡を待つことに疲れていた里子は気分転換に出かけることにした。

会社の不満、彼氏の自慢話、友達との他愛もない会話が続く中、里子は先に席を立った。


「里子?
どうしたの?」


きっと、私はつまらない顔で友達の話を聞いている・・・
だって、心がそっちを向いてくれない。
心は晴太の事しか考えていないもの・・・


「ごめんね・・・
ちょっと、用事を思い出しちゃって。

先に帰るね。
皆はまだゆっくり楽しんでて」


里子はそう言って友達に手を振りその場を後にした。

明日になれば晴太に会えるのに、それでも晴太に会いたかった。
でも、里子は晴太の電話番号も住んでいる場所さえ知らない。

その時、なんとなく夏子の顔が頭の中に浮かんだ。

夏子さんなら晴太さんの居場所を知ってるかもしれない。

そう思った里子は、一目散に夏子の店へ向かった。
晴太の事を知っている誰かに会いたい。


西川さんに自分を見失わないようにって言われたけど、私は完全におかしくなっている。




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