たすけて、みひろん!



マジックを披露してみせた吉野さんに向けられる歓声や拍手に、

彼女は満足げな笑みを浮かべてお辞儀をした。


だけど、私は知っている。

彼女に向けられているのは拍手だけじゃない。


「またやってるよ、飽きないねぇ」

「美人で明るいからってちやほやされて、マジックだってそう面白くないのに」

そういう軽い悪口も向けられる。

といっても、悪口を言ってるのは一部の人たちだし、私に向けられているのと比べれば軽いもの。


しかも、悪口を言っている当の本人たちは、

「よっちゃん、金持ってない?」

私をコソコソとイジメることに精一杯だから。


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